性感染症
性感染症
当院で疾患原因の来院頻度STD NO.1~NO.3について説明します。
No.1 クラミジア感染症
最近10代~20代前半の若い女性に増加しているSTDです。どこかで一度は聞いた事があると思います。女性はかかっても無症状の事が多いので、知らずに罹っている事もあります。
原因
クラミジア・トラコマチス(目の感染症でもあります)
潜伏期間
1~3週間
症状
女性は、おりものが増えたり、軽い下腹部痛や排尿痛など、軽微な症状が多く、症状のない事もあります。しかし、中には腹膜炎や卵巣膿瘍など重篤になる事も。
治療していないと不妊症、また妊娠しても、子宮外妊娠や流産・早産をおこす事もあります。
赤ちゃんには分娩時に産道で感染し結膜炎や肺炎をおこします。
男性は、尿道炎として症状がでやすい。
検査
綿棒で子宮頸管から検体をとる。血液検査でのクラミジア抗体陽性は感染の記憶なので、それだけでは治療の対象にはなりません。
治療
抗生物質の内服治療
重症の場合、入院して抗生物質の点滴も。大事な事は二人で検査をして、二人とも陰性になるまでセックスはしない事です。
※オーラルセックスでも感染するので、性器だけではなく女性の咽頭からクラミジアが検出される事もあります。
No.2 性器ヘルペス
クラミジアの次に多いのが性器ヘルペスです。原因となっている単純ヘルペスには、口唇や口腔に出るI型ウイルスと、性器に出るII型ウイルスがありますが、最近ではオーラルセックスによってI型とII型の住み分けがはっきりしなくなっています。セックスやディープキスで皮膚の小さな傷からウイルスが入り込み、痛い水泡や潰瘍を形成します。
原因
単純ヘルペスI、II型
潜伏期
2~10日
症状
感染しても無症状のものもあります。(体の抵抗力が強い、ウイルスの量が少ない)
初感染・・・性交渉後3~7日で外陰部にかゆみ→痛みがでます。外陰部に左右対称な水疱や浅い潰瘍ができ、とにかく痛いのが特徴で、排尿困難になったりします。熱が出たり、足の付け根のリンパ節が腫れるのも特徴です。
再発型・・・不顕性感染や初感染治療後もウイルスは神経細胞に潜んでいるので、疲労や月経、体力抵抗力の低下などを契機に外陰部に再発します。痛みはありますが、初感染より軽いです。下肢のしびれなどの前駆症状で再発を察知できる事もあります。
※妊娠中に再発する事が多いです。経胎盤性には感染しないが分娩時に産道で感染し、新生児脳炎や肺炎をおこすので、分娩時に再発している時は帝王切開をします。
治療
抗ウイルス剤の内服で病期を短縮します。重症の場合は入院点滴。抗ウイルス剤の軟膏を使う事もあります。潜伏するウイルスを根治する事は困難ですので、再発予防のためには誘因となる体力や抵抗力の低下に気をつけて生活する事が大事です。
No.3 尖圭コンジローマ
外陰部にニワトリのトサカ状のイボができる。ヘルペス同様、ウイルス感染する。
このウイルスの感染は、子宮頸がんの発生と関係している点が重要です。
原因
ヒトパピローマウイルス(HPV)
潜伏期
数カ月
症状
外陰部や膣にニワトリのトサカ状のイボのような腫瘤ができる。痛みやかゆみはありません。
治療
自然に縮小する事もある。2週間くらいして変化のないものは、電気メスやレーザーで機械的に治療するかベセルナクリームを塗布します。
目に見える病変は消えても、ウイルスは潜伏しているので再発もあります。
No.0(番外)膣カンジダ症
婦人科外来で多い疾患はカンジダです。感染経路はセックスだけではないので番外としました。
原因
カンジダ(真菌)カビの一種
潜伏期間
不定
症状
性器周辺の強いかゆみとカッテージチーズ状のボロボロしたおりものがたくさんでます。発赤や腫れた感じにもなります。
治療
抗真菌剤の膣錠を7~10日間くらい使用します。外陰部のかゆみが強い時は抗真菌剤の軟膏も使用します。
※膣・外陰カンジダ症はセックスだけでなく、お風呂やプール、温泉、タオルなど日常生活の中でも感染するので、性交渉のない子供でもかかります。
治療してもカンジダは膣内に残り、体力や抵抗力の低下、抗生物質などをきっかけに再発します。
その他
淋菌による。最近増加しています。
膣トリコモナス症
トリコモナス原虫による。泡立った臭い黄緑色のおりものが増加。
梅毒
梅毒トレポネーマによる。昔のSTDの代表ですが、若い女性にも増えています。10年以上かけて進行。
HIV
ヒト免疫不全ウイルスによる。潜伏期間が10年以上と長く、日本でも感染者が増加しています。