月経痛について | イノウユキコ婦人クリニック
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 月経痛

新しい年を迎え、気持ちも新たに、今年も仕事をしようと思っています。

私は、年に数回女子校に伺い健康相談をさせていただいています。その中で多い相談の一つに“月経痛が強い”というのがあります。

現に相談をしている保健室のベッドには、月経痛のため、寝ている学生がいつも何人かいます。また、月経痛のため救急車のお世話になる人もおられます。

妊娠のためには月経は仕方ないけれど、痛みはなんとかならないかと思っている方はたくさん居られると思います。月経痛はなぜおこるのでしょう?
月経痛には、1:機能性月経痛2:器質性月経痛があります。


1:機能性月経痛は、特に気質的な病気なしにおこる、いわゆる生理痛です。これは子宮の過度のけいれんによっておこるとか、自律神経の失調によるとか諸説あります。しかし、若くて強い月経痛(特に始まる前の日と1日目)を訴える人の多くは子宮が未熟で子宮口が狭小です。狭い所を血液や内膜が通過しようとするとき、子宮口に圧力が加わり、痛みをおこします。また、月経時にはプロスタグランジンという物質が増え、子宮や小腸の平滑筋を収縮させるので、月経痛に加え、下痢や吐き気などの症状をおこします。この痛みの物質の出方が月経痛の個人差になっているようです。10代~20代の若い方の月経痛はほとんどがこれです。


2:器質性月経痛は、子宮内膜症や子宮筋腫といった病気によって月経痛が強くなるものです。特に30代以降に以前より月経痛がひどくなり、時には月経時以外でも下腹部痛があったり、異常出血がある場合は要注意です。このような場合、我慢は禁物です。気になるようなら医師の診察を受けるように。



月経痛の対処法:機能性の場合にはまず、鎮痛剤を使います。もちろん市販の鎮痛剤でもよいのですが、服用するタイミングが問題です。

よく、我慢してどうしようもなくなってから飲むという方がいますが、たいてい効きません。痛い上に気持ちが悪くなり、のたうちまわることになります。鎮痛剤は痛み物質プロスタグランジンがたくさんでてからでは効きません。なるべく早く、月経になったら痛くなる前でも構いませんし、周期が順調で出血がなくてすぐ月経が来ることが分かる方は、月経がはじまる前からでも服用してみてください。

そして1日に2~3回、痛みのウエーブが来る前に服用しましょう。

鎮痛剤を飲むと癖になるとか、効かなくなるのではと思っている方もおります。しかし、月に2日ばかり鎮痛剤を飲んでも癖にはなりません。また、同じ服用法で効きが悪くなるというのは、タイミングの問題か月経痛自体が進行しているかです。

月経痛が気になるときは、やはりまず婦人科を受診して器質性(病気による)月経痛を除外する必要があります。

機能性月経痛はほとんど鎮痛剤や生活改善で落ち着きます。器質性の場合には、もとになる病気の程度によって対処法は違います。子宮内膜症性のう胞で直径6cm以上のものや大きな子宮筋腫は手術が必要なこともあります。また、一時的に月経を止める、偽閉経療法を行うこともあります。しかし、病気の程度が軽いものについては機能性と同じ対処法です。ただし、病気の定期的なチェックは必要です。



LEP製剤:避妊作用の他、月経困難症で適用のある低用量ピルがあります。

器質性月経痛にも用いられ、子宮内膜症にも治療作用がみられることもあります。

「ヤーズフレックス配合錠」
「ヤーズ」は現在、月経困難症に使用されている超低用量ピルです。
これは既に使っている方も多いと思います。
ヤーズによって、ずいぶん毎月の月経痛が緩和されていると思いますが、それでも毎月毎月月経があることが苦痛の方に朗報です。
ヤーズフレックスは薬剤は同じですが、偽薬を飲まずに実薬(ピンク)を最長120日間のみ続けることによって月経の回数を年間3~4回に減らすことができる薬剤です。
妊娠するには月経は必要ですが、現代の女性は妊娠分娩回数が減っているので、月経の回数が多くなって、そのため、子宮内膜症・月経困難症が増えていると考えられています。自分が妊娠したい時まで卵巣を休めて子宮内膜症の発生をできるだけ抑えることも、ひとつの手だてともいえます。



漢方薬:体を温め、血液の流れをよくする漢方療法もおすすめすることがあります。長期的な作用を期待するものだけでなく、漢方の鎮痛剤もあります。



日常生活:体を温めることは大事です。食事も体を温める作用があるものをとるようにしましょう。むくみがちな時ですので塩分は控えめに。ビタミンB類を多く取るように。また、便秘も大敵です。

月経時でも適度な運動や入浴で気分をリフレッシュしましょう。温かい飲み物を片手に、気のあった友達とおしゃべりをしたり、好きな本を読んだりして、気分転換もいいかもしれませんね。

月経痛が強く、我慢を重ねている方は、痛みに対する対処法がわからず、月経を恐怖に感じてしまいがちです。痛みは相対的な感覚なので恐怖感は痛みを増強します。月経は女性が長期にわたり向き合っていくものです。ご自分に合った対処法を早くに見つけられれば、月経期間中も普段と同じ、生き生きした自分でいられると思います。産婦人科に行けば何か解決策がありますよ。